裁量労働制とホルミシス
裁量労働制をとる外資系医療関連会社に勤める後輩からニュースレターが届きました。
『昨日は出勤日で会社にいくと、チームのマネージャーから召集がかかり、チームメンバーのひとりが近日中に退職することをアナウンスされました。何か質問などあれば、とのことでしたので、「(私たちの業務で)〇〇さんしか知らないことはある?」、「引っ越すつもりなのか」、「これから行くところではGQP(品質保証業務)になるのかGMP(製造管理業務)になるのか」というような質問を、退職する本人にしました
他のメンバーはショックが強すぎたらしくて、ほとんど何も言わないような状況でしたが、私の発言がきっかけで少しは会話ができ、雰囲気が和らいだような感じでした。
ミーティングの後で、マネージャーから、「質問をありがとうございました。いずれも良い質問でした」とテキストチャットで知らせてくれたのは嬉しかったです。』
この逸話で、実際には、評価されたのは誰からも指示されていないのに、「今、この場に必要なことは何か」を考えて行動したことです。
裁量労働制では言われたことをやるだけでは評価されません。評価されるのは、問題を見つけ、改善策を提案し、情報共有をすすめ、業務を円滑にし、他者を支援する。組織に価値を生む自主的な行動です。
裁量労働制というと、「自由に働ける制度」と考えがちですが、本質は逆で、「自分で考えて行動する責任を負う制度」なのです。評価は売上だけではない。組織がよりよく機能するための行動もまた成果なのです。「何をしたか」ではなく、「その行動がシステム全体にどんな影響を与えたか」を見ます。
ホルミシスとは、生体に適度な刺激が加わることで恒常性維持能力が活性化される現象です。
組織も同じです。問題が起きたとき、誰かが自発的に行動し、情報共有やコミュニケーションを促すことで、組織は健全な状態を維持することができます。
後輩がしたのは単なる質問ではない。組織の恒常性を維持するための刺激行為だった。彼の行動もまたホルミシスなのです。
(JM)